現在地はいづくなりや 映画監督東陽一[半世紀にわたり映画と向かいつづけた男が、filmに刻みたかった人間像とは]
全国各地で公開中

出演:東陽一常盤貴子烏丸せつこ緑魔子安藤紘平大谷恵理架〔ギター演奏〕

監督・編集:小玉憲一
企画・製作:小松原時夫 住田望撮影:住田望照明:小峯睦男録音:湯脇房雄編集:黒岩清乃
VE:小久保尚志EED/Color grading:久保田尚
宣伝:岩井秀世製作・配給:株式会社モンタージュ

2020年/日本/94分/カラー/DCP

現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 イメージ
現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 イメージ
現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 イメージ
現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 イメージ
現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 イメージ
現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 イメージ

Introductionイントロダクション

独立プロ、ATG、そして現在に至るまで
映画を撮り続ける男の原点がここにある―

映画監督、脚本家として半世紀にわたり作品を撮り続けてきた東陽一が、初めて映画の制作過程や自身についてをカメラの前で語る。これまで多くを語ることのなかった東陽一を約1年間にわたり撮影し、文字表記の一部を旧仮名遣いにした『現在地はいづくなりや 映画監督東陽一』は完成した。

本作では東陽一の幼少期から青年期、そして現在に至るまでの足跡と、その作品を追っていく。長編デビュー作となったドキュメンタリー映画『沖縄列島』から、初の劇映画で日本映画監督協会新人賞を受賞した『やさしいにっぽん人』、その後、『日本妖怪伝サトリ』からはじまり、芸術選奨文部大臣賞を受賞した『サード』、『もう頰づえはつかない』、『四季・奈津子』、『マノン』、『ザ・レイプ』、観客動員数200万人を超える大ヒットを記録した『橋のない川』、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、その名を世界に知らしめた『絵の中のぼくの村』、そして『ボクの、おじさん』、『わたしのグランパ』、『風音』、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』、につづく最近作『だれかの木琴』までを網羅する。
また対談という形で、東陽一と東作品で主演をつとめた俳優たちが、当時の映画のバックストーリーや、東の映画に対するスタンスを語り合っている。2作品に出演し、東作品初のヒロインとなった緑魔子、続く烏丸せつこ、そして最近作から常盤貴子という豪華な顔ぶれが揃った。
映画関係者からは、映画作家で早稲田大学名誉教授でもある安藤紘平が本作の監督小玉憲一と『サード』、『だれかの木琴』から見た東陽一を語っている。また全編を通じて流れるバッハの「シャコンヌ」は撮影当時15歳の中学生だった、新進気鋭のクラシックギタリスト、大谷恵理架によるものである。
その生い立ちから、映画監督となり20本を超える映画を作った今日に至るまで、東作品はもちろん、東陽一自身をインタビューや対談、フィルモグラフィーを通してひもといていく。『現在地はいづくなりや 映画監督東陽一』は東陽一ファンであれば間違いなく楽しむことが出来る、そうでない映画ファンにとっても、日本映画史の1ページを知る上で大変興味深いものになっているはずだ。

本作はその人生を映画にささげた1人の男の歩みと、映画への想いが詰まったドキュメンタリー映画である。

Cast / Staffキャスト・スタッフ

Higashi Yoichi

1934年生まれ。長編第一作はドキュメンタリー作品『沖縄列島』(69)。初の長編劇映画『やさしいにっぽん人』(71)で日本映画監督協会新人賞を受賞。『サード』(78)でキネマ旬報ベストワン、芸術選奨文部大臣新人賞などを受賞し、映画監督としての地歩を固めた。
その後、桃井かおり主演『もう頰づえはつかない』(79)、烏丸せつこ主演『四季・奈津子』(80)、田中裕子主演『ザ・レイプ』(82)など女性の美と生を巧みに描いた快作で高い評価を得る。『橋のない川』(92)では観客動員200万人を超えるヒットを記録。続く『絵の中のぼくの村』(96)でベルリン国際映画祭銀熊賞など国内外で数多くの賞を受賞。石原さとみ・菅原文太主演『わたしのグランパ』(03)ではモントリオール世界映画祭最優秀アジア映画賞、浅野忠信・永作博美主演『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』(10)で日本映画批評家大賞監督賞を受賞した。最近作に常盤貴子・池松壮亮主演『だれかの木琴』(16)がある。

2024.01.25 嬉しいお知らせです!
東陽一監督が「第47回日本アカデミー賞・会長功労賞」を受賞されました。
永年にわたり多大なる貢献と顕著な実績をしるした映画人に贈られる賞です。
おめでとうございます!

東陽一
役作りしないでくださいと言われて、それを託せる監督はそんなにいないんです

Tokiwa Takako

1972年生まれ。1991年女優デビュー以降、テレビドラマ、映画と数多く活躍。TVドラマ代表作に「愛していると言ってくれ」(95/TBS)、記録的な視聴率を樹立した「ビューティフルライフ」(00/TBS)などがある。
映画『赤い月』(04)では、第28回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。最近の出演作品に「グッドワイフ」(19/TBS)、連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)、映画『野のなななのか』(14)、『花筐/HANAGATAMI』(17)などがある。
東陽一監督とは『だれかの木琴』(16)で主役の親海小夜子を演じ注目を集めた。

常盤 貴子
今だったらわかることも、あの時はわからなかった。今だったらすごくわかるよ

Karasuma Setsuko

1955年生まれ。79年に6代目(80年度)クラリオンガールに選出され、芸能界デビュー。『海潮音』(80)に出演し、女優としてのスタートをきる。同じ頃五木寛之原作の『四季・奈津子』(80)で東陽一監督と出会い初主演し、日本アカデミー賞主演女優賞・新人賞、ゴールデンアロー賞新人賞を受賞。続いて東監督の『マノン』(81)でも主役を演じ話題になる。また、高倉健と共演した『駅STATION』(81)では日本アカデミー賞助演女優賞を受賞。
最近の出演作品には『64-ロクヨン』(16)、『二重生活』(16)、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)、『祈りの幕が下がる時』(18)、『教誨師』(18)などがある。

烏丸 せつこ
シナリオはちょっとわからなかったけれど、あの詩がよかったんだと思います。”疲れたら眠りなさい”って

Midori Mako

1944年生まれ。64年東映映画『二匹の牝犬』で衝撃的デビュー。同作でブルーリボン賞新人賞を受賞。その後、数々の巨匠監督や名演出家らの作品に出演し、唯一無二の存在感をスクリーンやステージに刻みつけてきた。映画『軽蔑』(12)での演技と長年の功績に対して、第21回日本映画プロフェッショナル大賞功労賞を受賞。
東陽一監督とは『やさしいにっぽん人』(71)、『日本妖怪伝サトリ』(73)の2作に続けて出演した。
最近の出演作品では、ドラマ『氷の轍』(16)、『いぬむこいり』(17)、『STAR SAND 星砂物語』(17)などがある。

緑 魔子
リアルよりも幻想の方が真実を語っているんだということを、東さんは提示してくれる

Ando Kohei

1944年生まれ、映像作家/早稲田大学名誉教授。
繊細で独創的な表現力で知られる映像作家。作風は一貫して“時の移り変わり”を描いた作品が多い。天井桟敷に在籍、故寺山修司の勧めで映画を撮り始める。第一作『オー・マイ・マザー』は、電子映像を使った日本最初のフィルム作品で、1970年オーバーハウゼン国際短編映画祭入選、アメリカ・ゲッティ美術館をはじめ横浜美術館などに収蔵。『アインシュタインは黄昏の向こうからやってくる』(94)、「フェルメールの囁き」(98)などの作品で、ハワイ国際映画祭銀賞、モントルー国際映像祭アストロラビウム賞などを受賞。96年3月には、タンペレ国際短編映画祭で寺山修司、手塚治虫らと共に特集が組まれる。フランス国際映画祭の審査委員長など多数の映画祭の審査委員を歴任。
現在、東京国際映画祭プログラミングアドバイザー。

安藤 紘平

Otani Erika

テキサス州生まれ、東京育ち。9才から斎藤浩氏の教室でクラシックギターを習い始め、2015年より朴葵姫氏、2018年より徳永真一郎氏に師事し現在に至る。これまでにM. ディラ、福田進一、D. ラッセル、J. ペロワ、R. シュミッツ、O. ギリア、M. バルエコ、G. ビアンコ、A. ピエッリなどの世界的なギタリストのマスタークラスを受講(年代順)。

【主なコンクール受賞歴】
2017年度
  • 第8回イーストエンド国際ギターコンクール第1位
2018年度
  • 第43回GLC 学生ギターコンクール第1位(GLC賞)
  • 第4回台湾国際ギターコンクール第3位(日本人最高位)
2019年度
  • 第27回コブレンツ国際ギターコンクール(ドイツ) セミファイナリスト
  • 第37回スペインギター音楽コンクール第2位
大谷 恵理架

監督

Kodama Kenichi

1978年生まれ。宮崎県出身。宮崎私立鵬翔高等学校卒業。2002年、東北新社映像テクノアカデミア映画学科入学。同校卒業後、フリーディレクターとしてCMやテレビ番組を多く手掛ける。
2006年から東北新社映像テクノアカデミア映像編集科・映画学科の講師を務める。
2014年、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」において、若手映画監督15人 に選出される。
2019年、ドキュメンタリー『五ノ神の山車 百年先を造る』が全国広報コンクールにて準グランプリを獲得。

Director's Message

「現在地はいづくなりや、現在地を知らせよ」
この問いに答えを持つ人間などいるだろうか。

東陽一という映画監督が、広く世に知られるようになったのは、やはり『サード』からということになるだろう。1978年に公開されたこの作品は多くの賞を受賞したATGの伝説的映画だ。そして、その1978年は僕、この映画の監督である小玉憲一の生まれた年でもある。

今回、東さんのドキュメンタリーを撮るにあたり、そのキャリアを振り返ってみたわけだが、やはり「すごい」と言わざるを得ない。日本人の監督で、シリーズ物やプログラムピクチャーなどを除いて、20本を超える作品を残している監督が何人いるだろうか。そしてやはり、僕は東さんの映画が好きなのだなと思った。『世界一』とまでは言わないが、『世代一』くらいは名乗らせてもらってもいいだろう。

実は今回、一番頭を悩ませたのはタイトルだった。いくつものタイトル案を考えたが、どれもしっくりこない。つまりテーマが僕にも良く見えていなかったのだろう。映画にまでしたいと思う、ひとりの映画監督の、何に僕は惹かれているのか。何を描きたいのか。もうこのままでは東陽一と同化してしまうのではないか、というほど東作品を見返す日々が続いた。

そうして辿り着いたタイトルが『現在地はいづくなりや』だった。これは東陽一監督初の劇映画の中に通信という形で出てくる言葉だ。
「現在地はいづくなりや、現在地を知らせよ」
そこに辿り着いた時、僕の中で全てのピースがはまっていったように感じた。東さんは『やさしいにっぽん人』から『だれかの木琴』に至るまで、常にこのことを頭の隅に置いていたのではないか?

「現在地はいづくなりや、現在地を知らせよ」
この問いに答えを持つ人間などいるだろうか。どの時代のどの世代もどんな人間も持つ疑問なんじゃないか。例えば『サード』で描かれた少年少女たち、彼らは居場所を求めていた。それぞれのホームベースを求めていた。これは今の若年層がSNSに依存し、どこかに所属しようとするのに似ている。
東作品は地球や宇宙を存亡の危機から救ったりはしないが、今を生きる誰しもが持つ、孤独や隙間を共有してくれるのだ。決して答えを押しつけたり、善悪の価値観を提示したりはしない。ただその場所に、同じ所にきて寄り添ってくれるのだ。その絶妙な距離感こそが、東映画の魅力のひとつだと、僕は思う。
誰しもが自分の世界と、自分以外の世界で生きている。東映画はその境界線上にひょっこりと顔を出すのだ。
今の世の中、とかく白黒はっきりさせたがるが、どちらでもないという曖昧な立ち位置こそ、今まさに必要とされていることではないだろうか。

その曖昧さを東さんは『魍魎』という言葉で表現している。光と影との境目、そのあわいに潜む妖魔のごとき、見る者は見ることができるが、そうでない者は気づくことさえのないもの。東さんが自分の作品として納得できるものには、その『魍魎』がチラチラと映り込んでいるのだそうだ。

『現在地はいづくなりや 映画監督東陽一』このタイトルを東さんに見せたとき、「かっこよすぎるんじゃないか?」といってニヤリと笑われた。
「かっこよくていいじゃないですか」そう言って、僕も笑い、そのタイトルで行くことを決めた。

そうして何十時間にも及ぶインタビューを経て、完成したのがこの映画だ。よくもまあ、そんなにお付き合いいただけたものだと思う。自分で言うのもなんだが、なんだか不思議な映画が出来上がった。いわゆるドキュメンタリーではないし、もちろん劇映画でもない。心理学者の河合隼雄は「芸術作品の中には、作者でさえ気づかないものが含まれている」と言っている。自作を「芸術作品」などと呼ぶつもりはないが、僕にも意図しないものが、ひょっとしたら『魍魎』がどこかに映り込んでいるかもしれない。僕からしてみれば、東陽一その人こそ、『魍魎』のごとき存在ではあるのだが。

『サード』が公開されたとき、東さんは44歳だった。『現在地はいづくなりや 映画監督東陽一』を公開する2020年、僕は42歳になった。今、この時に、東さんと『現在地』を探る旅に出られたことは、この上ない喜びである。

小玉 憲一

Trailer予告編

Theater劇場情報

エリア 劇場 スケジュール
DVD

『現在地はいづくなりや|映画監督 東 陽一』DVD発売情報
Amazonにて好評発売中です!! ※レンタルなし

DVD仕様:カラー/日本語ステレオ/16:9/ドルビーデジタル
価格:4,400円(税込)
www.amazon.co.jp/dp/B0CHRKVPHM

東京
(中野区)
ポレポレ東中野
〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル地下 map
TEL 03-3371-0088

20/10/24(土)~30(金)
12:10~

再上映決定!! 10/24(土)、25(日)に監督舞台挨拶有り

この度、ポレポレ東中野では10月24日(土)より再上映が決まりました。

小玉憲一監督の舞台挨拶が10月24日(土)、25日(日)にあります。
東陽一監督の舞台挨拶を25日(日)に予定しています。

詳細は、当公式サイト、劇場公式サイト、SNSなどでご案内いたします。

愛知
(名古屋市)
名古屋シネマテーク
〒464-0850 愛知県名古屋市千種区今池1-6-13 スタービル2F map
TEL 052-733-3959

20/3/7(土)~13(金)
11:40~

1日1作品上映 3/14(土)~3/20(金)

『やさしいにっぽん人』
3/14(土) 、3/18(水) 10:00~

『沖縄列島』
3/15(日)、 3/19(木) 10:00~

『マノン』
3/16(月)、 3/20(金) 10:00~

『日本妖怪伝サトリ』
3/17(火) 10:00~

詳細ページ:http://cineaste.jp/m/3000/3021.htm

神奈川
(横浜市)
シネマ・ジャック&ベティ
〒231-0056 神奈川県横浜市中区若葉町3-51 map
TEL 045-243-9800

coming soon

大阪
(大阪市)
シネ・ヌーヴォ
〒550-0027 大阪府大阪市西区九条1-20-24 map
TEL 06-6582-1416

20/9/12(土)~18(金)
12:25~

20/9/19(土)~25(金)
14:45~

シネ・ヌーヴォX
20/9/26(土)~10/2(金)
19:00~

小玉憲一監督トークショー 9/12(土)・13(日)

9月12日(土)の上映後、小玉憲一監督によるトークショーがあります。
東陽一監督からのビデオメッセージも予定しています。

【お詫び】
9月13日(日)の上映後に予定していた小玉監督によるトークショーは諸事情により中止となりました。
楽しみにしていた皆さま申し訳ございません。

東陽一監督特集 9/12(土)~18(金)

東陽一監督特集

9/12(土)
14:20~ 『マノン』
16:30~ 『やさしいにっぽん人』
9/13(日)
14:20~ 『だれかの木琴』
16:30~ 『マノン』
9/14(月)
14:20~ 『だれかの木琴』
16:30~ 『やさしいにっぽん人』
9/15(火)
14:20~ 『やさしいにっぽん人』
16:30~ 『だれかの木琴』
9/16(水)
14:20~ 『やさしいにっぽん人』
16:30~ 『だれかの木琴』
9/17(木)
14:20~ 『だれかの木琴』
16:30~ 『マノン』
9/18(金)
14:20~ 『マノン』
16:30~ 『やさしいにっぽん人』

詳細ページ:東陽一監督特集

宮崎
(宮崎市)
宮崎キネマ館
〒880-0805 宮崎県宮崎市橘通東3-1-11 アゲインビル2F map
TEL 0985-28-1162

20/11/21(土)~27(金)
12:10~

初日から三日間、小玉憲一監督(宮崎県出身)舞台挨拶あります!!

11月21日(土)、22日(日)、23日(月祝)の上映後、小玉憲一監督の舞台挨拶があります。

現在地はいづくなりや 映画イメージ